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ブルームバーグ 更新日時: 2012/11/12 09:35 JST
http://
www.bloomberg.co.jp/news/123-MCSPJ01A74E901.html
反日行動に無言の反撃、自動車業界に中国離れの動き-近隣へ
11月12日(ブルームバーグ):中国での反日デモや不買運動の影響を受けた日本の自動車関連業界では、現地で新規に投資するのを控えようとする動きが出ている。
景気が減速する中国にとっては海外からの直接投資の減少に拍車がかかるほか、
日本の先端技術を取り込みにくくなる可能性があり、
長期的には中国側も日中対立の影響を被りそうだ。
自動車用ねじや精密部品などを製造するフセラシ(大阪府東大阪市)の嶋田守社長は10月、マレーシアやインドネシアなど東南アジア諸国へ出張した。
本来の訪問先は中国の予定だったが、反日デモの激化でキャンセルした。
中国で生産能力増強を考えていたが、事業リスクを考慮し、今後は東南アジアに切り替えることを検討している。
フセラシは非上場で、トヨタ自動車 や日産自動車 、ホンダ などの大手メーカーに部品を供給。
嶋田社長は10月のインタビューで、自動車メーカー側から今後の中国投資に関する方針は示されていないと前置きした上で、今後の現地事業について楽観視しておらず、日本車需要が従来の水準へ戻るのに時間がかかるかもしれないと指摘。
「
今までのように中国でどんどん事業を加速させる雰囲気ではない。
現状の生産能力は維持しながら、新しい投資に関しては他の国で、ということになるのではないか」
と話した。
海外から中国への直接投資は減少気味だ。
9月は前年同月比6.8%減の84億3000万ドル(約6800億円)、1-9月は前年同期比3.8%減の834 億ドル。
過去11カ月のうち10カ月で前年水準を割り込んだ。
中国の7-9月(第3四半期)成長率は7.4%と、この3年余りで最低だった。
■
対中直接投資は半年ぐらい減少傾向も
ニッセイ基礎研究所の三尾幸吉郎上席主任研究員は、自動車産業のような製造業は雇用創出力が高いとし、中国への影響として雇用減少とそれに伴う景気後退を挙げ、
「現在の景気減速の流れが加速しかねない」
とコメントした。
これまでも中国で反日行動が激化すると、日本からの投資は減ったと指摘。
過去の例では欧米からの投資増が補ったが、世界経済の状況を考えると欧米からの投資急増は考えにくく、
中国への直接投資は、今後半年ぐらい減少傾向を続けるのではないかと話した。
日本貿易振興機構(JETRO)のウェブサイトによると、11年の中国への海外からの直接投資額(金融分野を除く)約1160億ドル(約9兆3000億円)のうち、日本は63億4800万ドルで、香港と台湾に次ぐ3位、全体の5.5%だった。
これにシンガポールを加えた上位4カ国・地域で83%を占める。
日本からの対中直接投資は99年以降、ほぼ増加傾向にあり、07年まで8年間で8.5倍に膨れ上がっていた。
中国からのシフトを検討する会社はフセラシだけではない。
自動車用ワイヤーハーネスで世界シェア2位、住友電気工業 の松本正義社長は10月31日の決算会見で、
今回の激しい反日デモでリスクを再認識し、
「
一線を画したほうがいいのではないか」
と感じたという。
■
労働コストは「安くない」
松本氏は、かつて世界の工場として注目を集めた中国について、最近は賃金が大幅に上昇し、労働コストは「安くない」と指摘。
ミャンマーやベトナムなど
「コストが安くて親日的な国」
は他にもあると述べ、今後は中国への投資は内需の増加分にとどめ、輸出に関してはそうした周辺諸国に移したいとの考えを示した。
移転したほうが収益面でもプラスになるといい、他の自動車部品メーカーの経営者にも同じような考えを持っている人は多いという。
国内4位のタイヤメーカー、東洋ゴム工業 の中倉健二社長は9月のインタビューで、反日デモで日本企業は中国リスクを再認識したのではないかと指摘。
今後の能力増強投資はマレーシアなど他国に傾く可能性があると述べていた。
■
新工場稼働を凍結
自動車用ランプを製造する小糸製作所 は、中国・広州工場で建設中の新工場の稼働を当面凍結することを決めた。
広報担当の唐沢晋自氏によると、ヘッドランプの生産能力を年150万台へ一気に3倍に増やす計画だったが、今は工場の建設作業は進めているものの、生産設備の導入を止めている。
「
需要がまったく読めない状況」
で、凍結解除の時期はいつごろになるかは分からないとした。
大和総研経済調査部の橋本政彦エコノミストは10月19日付のリポートで、
日本からの対中輸出が1カ月停止した場合、国内総生産(GDP)を8200億円押し下げると試算。
日本の貿易量全体に占める対中取引の比重が、中国の貿易に日本が占める割合より大きいため、
直接的な影響は日本の方が大きいとした上で、製造業の投資が減れば、中国側も当然、一定の影響を受けるとした。
尖閣諸島をめぐり日本政府が9月に国有化を表明後、中国各地で反日デモが起こった。
日系自動車販売店への放火などもあり、日本メーカー各社は一時、一部工場で操業停止など生産調整を余儀なくされた。
9月の中国販売台数は、トヨタが前年同月比49%減、ホンダと日産自はそれぞれ41%、35%の減少。
ホンダと日産自が今期(13年3月期)純利益予想をいずれも従来比で20%減額するなど、業績面に影響も出ている。
自動車メーカーでも反日デモ後、中国以外のアジア生産を強化する動きが目立っている。
国内最大手のトヨタは東南アジア地域の生産拠点と位置付けるタイで生産能力増強の予定だ。
今年の現地生産は前年比7割増の88万台の計画で、将来は100万台程度へ引き上げる。
インドネシアでも部品調達を含め現地の生産能力増強を計画している。
また、主力小型車「マーチ」をタイで生産し日本へ逆輸入する日産自も、戦略的輸出拠点の現地に新工場を建設するなど設備増強を進めている。
■
自分たちの首絞める
中国経済に詳しい関西学院大学国際学部の伊藤正一学部長は、
日中対立が続けば中国にとって日本の最先端技術を吸収する機会が失われるデメリットもあるとみている。
伊藤氏は
「精密機械など高度な技術を必要とする工業製品はいまだに日本メーカーが圧倒的に優位に立っている」
と指摘。
従来のような労働集約型から高付加価値の産業に移行する時期に差し掛かっている中国にとって、日本の先端技術の生産が中国から離れれば、
「
中国では技術的に高いものつくるのが困難になる。
長期的には自分たちの首を絞めるようなことになるのではないか」
と話した。
大和総研の橋本氏は、海外から投資資金を受け入れて成長してきた中国にとって最悪のシナリオは、欧米などの企業が日本に追随することだという。
「日本企業が移転を検討する根っこの理由は中国の人件費が上がっていること」
と指摘。
同様に中国の賃金上昇に頭を悩ます欧米企業経営者が、日本製品への破壊活動など中国人の過激な行動にリスクを感じて国外に生産をシフトする流れになれば、
「
資本と技術の両方が流出することになり、中国にとって厳しい」
と話した。
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中国失ってもブラジルなどの新興国ある
ハイブリッド車用など先端技術を駆使した部品も手がけるフセラシの嶋田氏は、中国で検討していた増産計画について、既に拠点があるタイで行うことを検討している。
尖閣諸島は日本の領土であり、
「
自国の領土を侵されてまで商売をやる必要はまったくない」
と考えているという。
仮にそれで中国の市場を失ったとしても、
「
ブラジルなど他の新興国に経営資源を集中し、シェアをすべて奪うぐらいのつもりで取り組めばいい」
と述べ、
「そのときになれば、 中国人も思い知るのではないか」
と語った。
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記事についての記者への問い合わせ先:大阪 堀江政嗣 mhorie3@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Young-Sam Cho ycho2@bloomberg.net
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レコードチャイナ 配信日時:2012年11月16日 19時29分
http://
www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=66529&type=0
最もビジネスしやすい国
=アジア首位は3位の香港、日本は31位、中国は96位―米誌
2012年11月14日、米誌フォーブスは2012年版の
「世界で最もビジネスしやすい国(Best Countries for Business)」
を発表。
首位にはニュージーランドがランクインし、アジア首位は3位の香港となった。
人民日報(電子版)の報道。
世界141の国と地域を対象に、税制、投資家の保護制度、証券市場の収益率、個人の自由度、イノベーション環境など11項目について調査した総合評価。
上位10位は、
1位・ニュージーランド、
2位・デンマーク、
3位・香港、
4位・シンガポール、
5位・カナダ、
6位・アイルランド、
7位・スウェーデン、
8位・ノルウェー、
9位・フィンランド、
10位・英国
だった。
アジア主要国の順位は3位だった香港を筆頭に、4位シンガポールで、以下
16位・台湾、
29位・韓国、
30位・日本、
31位・マレーシア。
香港は貿易・金融が世界で最も活発な土地柄に加え、税率の低さや高い経済成長率(2011年=5%)、低い失業率(2011年3.2%)が評価された。
中国は96位。
今秋から尖閣諸島をめぐる領土問題で日中関係が冷え込んでおり、中国の日系企業が脱中国の傾向にあることも「ビジネスに不向き」との印象を与えた。
しかし、日系企業の国外移転はこれだけが原因ではなく、以前から問題となっていた生産コストの上昇などが背景になったとみられている。
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