2012年11月18日日曜日

中国が13年の宇宙計画発表、海外メディアは懸念も

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● 13日、中国はこのほど、来年の宇宙計画を発表した。来年上半期に有人宇宙船「神舟10号」を打ち上げるほか、下半期には月探査衛星「嫦娥3号」を打ち上げ、月面探査を行うという。写真は神舟9号の乗組員。



レコードチャイナ 配信日時:2012年11月18日 14時26分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=66557&type=0

中国が13年の宇宙計画発表、海外メディアは懸念も―中国メディア

 2012年11月13日、中国はこのほど、来年の宇宙計画を発表した。
 来年上半期に有人宇宙船「神舟10号」を打ち上げるほか、下半期には月探査衛星「嫦娥3号」を打ち上げ、月面探査を行うという。
 海外メディアはこのニュースをこぞって伝えた。
 一部の西側メディアは中国の宇宙探査が新たなステップに進んだと感慨深げに報じたが、一方でこのことを懸念すべきなのか、それとも中国を宇宙探査のパートナーと見なすべきなのか迷うという見解も見られた。
 中国のある宇宙専門家は
 「中国は自国の定めた方針に従って宇宙計画を進めている。
 来年はわれわれにとって肝心な1年となるだろう」
と語った。環球時報が伝えた。

 ラジオ・フランス・インターナショナル(RFI)など各海外メディアは、第18回党大会代表であり、有人宇宙飛行プロジェクトの副総指揮である牛紅光(ニウ・ホングアン)氏の言葉を引用し、
 「神舟10号が来年6月上旬に打ち上げられ、3人の宇宙飛行士が再び宇宙ステーション実験機『天宮1号』を訪問する予定」
と伝えた。
 また、中国航天科技集団公司の馬興瑞(マー・シンルイ)社長は、
 「中国は来年下半期、嫦娥3号を打ち上げ、月面探査を行う。
 長征5 号ロケットは2014年末に初打ち上げを行う計画。
 このほか2020年をめどに宇宙ステーションを建設する」
と語った。

 各海外メディアはこれらの情報をただちに報道した。
 英BBCは
 「中国は来年6月上旬に神舟10号を打ち上げる。
 この時期に打ち上げられなければ、次の発射ウィンドウは7-8月となる。
 宇宙飛行士は男性2人、女性1人になると見られる」
と報じたほか、
 「この打ち上げは2020年までの宇宙ステーション建設を目指す中国にとって、大きな一歩となるだろう」
とした。

 仏AFP通信は
 「中国は宇宙計画を国家台頭と科学力増強のシンボルと見なしている。
 これまでに月面着陸に成功したのは米国のみだ。
 中国が来年下半期に嫦娥3号を打ち上げ、月面着陸に成功すれば、中国にとって初の地球外天体への軟着陸成功となる」
と報じた。

 一方で、複雑な感情を示すメディアもあった。
 米NBCは
 「中国の宇宙技術の進歩に対し、米国では2つの見方が存在する。
 1つは、中国がミサイルを迎撃できる衛星を有しているのではないかとし、発展の意図に透明度が欠けると疑問視する見方。
 もう1つは、中国は宇宙開発の潜在的パートナーであり、米国と共に宇宙の商業的価値を開発することができるという見方だ」
と紹介した。

 米国のウェブサイト「space.com」も同様の疑問を呈した。
 同サイトは
 「米国は中国の宇宙計画に懸念を抱くべきか?」
とする文章を掲載し、
 「神舟シリーズの宇宙船はカプセル型の宇宙機ではあるが、中国の技術は急速に発展しつつあり、複数回の飛行が可能な宇宙船も開発中だ」
と指摘。
 さらに専門家の言葉を引用し、
 「中国が宇宙船時代に突入してからのスピードは想像を上回る。
 どうあれ、各国の政策決定者は中国の宇宙計画に真摯に向き合うべきだ」
とした。

 宇宙専門家の厖之浩(マン・ジーハオ)氏は11日、中国の宇宙計画について次のように説明した。
 第一段階は、神舟5号、神舟6号で宇宙飛行士を宇宙に送り込み、無事帰還させる。
 第二段階は、船外活動技術、ドッキング技術、宇宙実験室技術でブレークスルーを果たす。
 現在はこの段階にあり、来年の神舟10号の任務で基本的にドッキング技術を掌握する予定だ。
 さらに天宮2号と3号を打ち上げ、宇宙実験室技術と宇宙貨物船技術を掌握する。
 第三段階は、2020年までに宇宙ステーション技術、すなわち、長期的に人が滞在し、宇宙資源を大規模に開発する技術を掌握する。
(提供/人民網日本語版・翻訳/SN・編集/TF)





【中国共産党第18回全国代表大会】


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逃げまわるネズミ:ビッグ・ドッグに交代

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●16日、中国国家海洋局が明らかにしたところによると、3000トン級の海洋監視船「海監137」が14日、中国海監(中国海洋環境監視観測船隊)東海総隊に配備された。写真は「海監137」。


 中国の海洋監視船は「逃げまわるネズミ」で少々みっともなかった。
 今度は戦える、ビッグ・ドッグに交代となった。
 これで「フィフテーフィフテー」になったか?


レコードチャイナ 配信日時:2012年11月16日 14時46分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=66516&type=0

3000トン級の海洋監視船、中国海監の東・北海総隊に配備―中国

 2012年11月16日、中国国家海洋局が明らかにしたところによると、3000トン級の海洋監視船「海監137」が14日、中国海監(中国海洋環境監視観測船隊)東シナ海総隊に配備された。
 同船は今後、東シナ海海域で権益保護のための定期巡航任務を行う。
 このほか、3000トン級の海洋監視船「海監 110」も中国海監・北海総隊に配備され、12日に黄海での定期巡航に向けて出発した。人民日報が伝えた。

 2隻の監視船の配備により、中国海監の権益保護・巡航・法執行能力がよりいっそう高まった。
 これは国家海洋権益の保護にとって重要な意義を持つ。
 中国海監には今後も数隻の船舶が相次いで配備される予定だという。
(提供/人民網日本語版・翻訳/SN・編集/内山)




サーチナニュース 2012/11/17(土) 09:46
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1117&f=politics_1117_001.shtml

東シナ海に3000トン級監視船、専門家「日本船衝突対策」=中国

  中国の国家海洋局は14日、東シナ海と黄海海域にそれぞれ3000トン級の海洋監視船を導入し、監視活動に用いることを明らかにした。
 中国メディア・中国新聞社は16日、大型監視船の導入が「日本の船舶による故意衝突」を意識したものであるとする専門家の意見を紹介した。

  中国海軍軍事学術研究所研究員の李傑氏は、従来の海洋監視船が1000-2000トン級の小型船であったと説明したうえで、今回の措置によって
 「巡視取り締まり能力がさらに高まり、国の海洋権益保護の観点で大きな意味を持つ」
と語った。

  特に「強度と衝突能力が高まった」とした点では、尖閣諸島海域を航行中に
  「しばしば日本の大型船舶による故意の衝突で、大きな損害を受けてきた」
と例を挙げ
 「今後、このような状況に効果的に対応できる」
と論じた。

  李氏はまた、今後もこのような大型監視船が続々と導入される予定であるほか、南シナ海などの遠方での長期にわたる監視活動向けの物資補給船なども増強される見込みであると語った。



 攻撃ヘリも登場してきた。
 日本は航空母艦はもっていないが、ヘリ空母はもっている。
 攻撃ヘリを自前で調達できるとなると、次はヘリ空母の建造になる。
 航空母艦というのは近海向けではないから、ヘリ空母の方がいい。
 そのためには自国製造の攻撃ヘリがどうしても必要になる。


サーチナニュース 2012/11/17(土) 15:52
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1117&f=politics_1117_004.shtml

中国産攻撃ヘリWZ―10 水陸両用艦搭載で制海権を掌握


 中国産攻撃ヘリ「WZ―10」(武直10)が11日午前、珠海エアショーで姿を表した。
 広州軍区陸軍航空隊に所属するWZ―10は珠海三ソウ空港の上空に現れ約40分間のデモンストレーションを実施した。
 WZ―10は低空旋回、急降下、背面飛行などを行い、高い機動性をアピールした。
 また同固定翼攻撃ヘリは低騒音を特長としており、輸送ヘリを効果的に護衛することが可能だ。
 中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

  デモンストレーション完了後、WZ―10は珠海三ソウ空港に着陸せず、広州軍区陸軍航空隊の駐屯基地に戻った。

  公式の情報によると、WZ―10は中国の第11次五カ年計画期間(2011―2015年)で重点的に予算投下が行われる新型軍用攻撃ヘリだ。
 WZ―10は中国空軍の「ゼロ攻撃ヘリ」という歴史的空白を埋め、新型戦闘機J―20の初の試験飛行成功に続き、中国航空機発展の重要な節目となった。

  WZ―10のナノメートル級ステルス材料は世界トップ水準に達する。
 その最大離陸重量は約5トンで、中型攻撃ヘリに属する。
 主な任務は対戦車・対装甲車作戦、地表の動く目標と固定された目標の消滅で、かつ高い対空能力を持つ。

  WZ―10の全体的な作戦能力・技術性能は、欧州の攻撃ヘリ「ティーガー」に相当する。
 また対地攻撃能力は、米国の「コブラ」、イタリアの「A―129」に相当する。
 情報によると、WZ―10は「アパッチ」と肩を並べる能力を持ち、水陸両用攻撃艦に搭載することで、制海権を掌握できるという。





【中国共産党第18回全国代表大会】


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中国人内部の声、メディアでは伝わらず:日本人はそこまで中国に媚びないといけないのか?

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レコードチャイナ 配信日時:2012年11月18日 8時33分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=66568&type=0

中国人内部の声、メディアでは伝わらず~「反日」デモ私見2

 「反日」デモは、表面的にはひとまずは収束したように見える。
 これは、今世界的にもチャイナウォッチの焦点が11月開催の第18回共産党大会の方に移ったせいでもある。
 「反日」デモについて、引き続き日本側において考えられる要因をより構造的な次元で指摘し、今後の対中「社会」間関係を考えるきっかけとしたい。

■「絵」にかき消された冷静な視点
 
 まず何よりも、今回の「反日」デモの第一報を知ったのは日本国内のメディア報道を通じてという人が大半だったのではなかろうか? 
 マスメディアを通じてでなければ日々の基本的な事実を知ることはできないわけで、そういう点においては、メディアはきちんと第一義的には自分の役割を果たしたとはいえる。
 ただし、メディアがそれ以上に事態を拡大解釈して伝えてしまったことも否めないのではないか。
 
 特にテレビメディアがそうだったことは否めない。
 暴徒による破壊活動という、これまたテレビ向きの行動は目論見通り日本のみならず世界中のテレビカメラをとらえることになった。
 筆者はこうした暴徒による破壊活動は許容されるべきではないと考えるが、問題は歴史的な次元での日本批判が彼らの活動のみに矮小化されることになり、その背後にある冷静的な批判や自らの内側から事態を冷却化させようとした中国人内部の声はほとんどマスを相手にしたメディアでは伝わらなかったという点にある。
 
 しかし実のところ筆者がこの「反日」デモ前後から始めた中国版ツイッター「微博」では結構早い段階から理性的な愛国を訴える声はあったし、その中のいくつかはツイッターでも紹介された。
 また影響力が限定的ではある知識人が主体とはいえ、尖閣問題に関し中国の主権を認める点を維持しつつ、これをあくまでも冷静な手段で訴えていく方向を示した署名が微博で回覧されていたし、日本側からもこれに呼応して知識人主体の宣言が公表された。
 しかしこのような冷静さを維持した動きについては、残念ながら大手日本国内メディアの報道は後手に回った。
 
 ただマスメディアは、「絵になる」情報に飛びつくのが必然で、地味で冷静な動きが後手に回るのもしかたがないかもしれない。
 それよりも、私が長いスパンで問題と考えるのはそういったメディア言説の上位にあるメタ言説がきちんと機能しきれなかったことにある。
 
■「数」重視による多様性の軽視

 メタ言説とは、例えば学術言説のように、世の中に誰にでもわかるような形で流通してはいないが、一般に人口に膾炙(かいしゃ)する言説―メディア言説はその一つだが―を上位から規定する言説のことを言う。
 今回の「反日」デモが、戦後以来の長いスパンで見て日本国内の中国関連メタ言説の影響力が低下したことを証明したとすれば、それは2つの点が影響してのことと思われる。
 
★.1点は、国際政治における冷戦構造の後遺症であるが、これについては今回は言及しない。
 それよりも日中関係や今回の事態に絡んでより重要ではないかと思われるのは、経済分野で構築されてきた「数」重視の言説である。

 「数」重視の言説とは単純化して言えば、中国をあくまでも市場としてのみ、その頭数でしか見ようとしない言説であり、「中国市場はざっと見積もって13億人、進出しなければ乗り遅れる」というちょっと前まで主流だったあの議論である。
 むろん企業サイドに立つ場合、こうした見方は排除できるものではなく筆者も全面否定するものではない。
 しかし、これまで日本国内の経済分野であまりに主流になりすぎたこの言説においては、中国とは人の頭数のことであり、それに拘泥するあまり、そこにどのような多様な人々が存在しているのか、ということを余りにも軽視しすぎてきたのではないだろうか?
 
 先日の「反日」デモであえて「暴徒」の側の立場になって考えてみた時、彼らは先日のような激しい動きを通じて、日本の経済界での主流を占めるこうした考え方に異議申立てをしたのではないかとも読める(そのやり方はたしかに問題があるが)。
 そして彼らの批判の矛先は、そうした日本企業のあり方を進んで受け入れた中国政府にも実は向かっていたといえるのではないか。
 なぜなら、「数」を強調する言説は中国自身が自らの企業誘致や国際政治上の圧力づくりのために繰り返してきた面もあるからだ。
 
■直接的な市民間交流に向けて

 今回の「反日」デモはそのような、中国につきものの「数」重視の言説を再検討するきっかけになりうるのではないか。
 ただしそれだけでは事態の再発防止には有効ではない。
 同じように、完全否定はしないが再検討が必要と筆者が考えているものに「中国特殊論」がある。
 これまでの「中国特殊論」をよい点は批判的に継承しつつ相対化し、国家やメディアによらない直接的な市民間の交流を進めることが大事と考える。
 
 「中国特殊論」は何も日本国内に限ったことではないが、日本の場合、前近代からの中国からの影響力や戦前戦後の関係性などにより、欧米のそれに比べると言論空間に占める割合も大きい。
 にもかかわらずこれまでは、その特殊性を過度に強調するあまり、一般的な次元の人々の中国への関心はむしろ失われることになってしまったのではないかと筆者は考えている。
 
 確かに中国は特殊である。
 かつてはそれを根拠に「チャイナスクール」の形成が図られてきたし、中国との交流ルートが限られていた時代は機能してきたとは言えるのだが、グローバル化を迎えて久しい今日、限界が来ているのは前回取り上げた外務省を見ても一目瞭然だ。
 また特殊性ということなら、世界中のいずこもそうであり、そこを強調しすぎれば交流のしようがない。
 さらに、中国自身も西側での議論に乗って特殊論を逆利用してきたフシもあり、結果的に中国をめぐる言論空間はこれまでは狭い範囲で閉鎖的に構築され続けてきたのではないか。
 これが従来まで日本の一般市民層が中国を見るときに「なんとなく怖い」という感覚につながってきたように思われる
 
 しかし最近では日中間で直接的な市民交流も拡大していることは否めない。
 中国語の学習人口はその時々での増減はあるが、20年前からすれば比較にならないほど増加し、特殊言語の域は超えた。
 「反日」デモ直後の現在は少々冷え込んでいるが、中国国内への旅行を含む移動も20年のスパンで見れば急増しているといえる。

 だが何といってもここ数年での最大の変化は、中国人の海外渡航制限が緩和され日本への訪問者も増えたことだ。
 彼らの大半がいわゆる反体制派ではない。
 では全く中国当局の考え方に一枚岩的に同調しているかというとそうではなく、実はその考え方には様々なグラデーション(濃淡)が存在している。
 以前からそうだったはずなのだが、このことが「数」を強調する言説や「特殊論」に阻まれ我々には見えなくなっていたのではないか
 
 だとすると今回の事態は様々に負の作用をも生んだが、「数」重視の論理や「中国特殊論」の副作用に気づかせてくれたという点で、後から振り返った時に日中関係の契機になりうるものかもしれない。
 少なくともそうなるように我々はこの2つを乗り越え、直接的な交流に乗り出していくこと、そしてこの2 つに代わる新しい交流の理論を考えていくべきではないだろうか。
 
(本田親史/国士舘大アジア・日本研究センター客員研究員<PD>)


 正直いうと、この言説は何を言おうとしているのだかよくわからない。
 よくわからない、というのは力を持たないということでもあるが、学問的に探求する場合はそれでいいと思う。
 つまり、こういう風に考えることもできますよ、ということである。
 中国人の内部の声まで、日本人は考慮しなければいけないのか、
 そこまでやらないと中国とは付き合えないのか、ということになると少なからず日本人にとっては負担になる。
 ならば逆に、中国人は日本人の内部の声まで聞いて行動すべきだと、日本人は要求するだろうか。
 まずしないだろう。
 日本人だけが反省し続けて、中国人は勝手にふるまっていいという訳にもゆくまい。
 少なくとも、同じ土俵にのるべきであってそれ以外のことを述べるのは学問的にはいいが、それ以外はただ日本人を卑下しろと要求することだけになる。
 日本民族とはそこまで中国に媚びていかねばならないのか。




【中国共産党第18回全国代表大会】


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2012年11月17日土曜日

「インターネット革命」と「日中紛争」は中国政体を危機に陥れるトリガーとなる

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ロイター 2012年 11月 16日 12:46 JST
http://jp.reuters.com/article/jpchina/idJPTYE8AF01Z20121116

焦点:中国新指導部は改革以外に道なし、高成長見込めず

[北京 16日 ロイター] 
 15日に発足した習近平氏をトップとする中国共産党指導部は、経済と政治の改革をゆっくりしたペースで進める意向かもしれないが、指導部を待ち受ける圧力はあまりに大きいため、好むと好まざるとにかかわらず改革を迫られることになるだろう。

 共産党は15日、習近平国家副主席を新たな総書記に選出。
 李克強・副首相も、政治局常務委員(党内序列2位)に選出された。
 習近平氏と李克強氏は来年3月に、それぞれ国家主席、首相に就任する見通しだ。

 新指導部は、胡錦涛・温家宝両氏に指導部が交代した10年前と比べ一段と豊かになり、自信を強めている中国を引き継ぐ。
 同時に社会、経済、政治の課題も大きく、舵取りを誤れば党の根幹が揺らぎかねない。

 米ジョージワシントン大学の中国政策プログラムディレクター、デビッド・シャムボー氏は、新指導部にビジョンがなければ
 「(次回の)第19回共産党大会が開かれることはないかもしれない
としている。

 これは極端な見方かもしれないが、中国専門家の多くは、鉄の支配を続けるつもりならば、大胆な改革実施が必要との見方で一致している。

<貧富の差拡大に国民の怒り>

 共産党は急速な成長を実現、国民の多くを貧困から救った。
 国民は今や、要求を声高に叫ぶようになり、抗議活動も起きやすくなっている。

 中国国民の怒りの種は、枚挙にいとまがない。
 多くの調査によると、国内の河川は40%以上が深刻な汚染に見舞われている。
 中国は一部の汚職指数で最下位に近い。
 約1億5000万人の出稼ぎ労働者は、出稼ぎ先の都市に居住権がないことを理由に、福祉を受けられないでいる。

 こうした問題は中国台頭の課題の1つを如実に示している。
 経済成長を背景に収入が拡大したが、それに伴い国民は副作用を我慢しようとしなくなっており
 指導部の「家父長的」手法への不満も広がっている。

 ハーバード大ケネディースクールのトニー・サイ教授は
 「国民は子供のように扱われている。
 (指導部は)国民の声に少しは耳を傾けても、結局は『何がお前のためになるのか、パパが一番良く知っている』ということになる。
 こうした手法が長続きするとは思わない」
としている。

 中国は10年前よりもずっと豊かになったが、繁栄追求の過程で貧富の差が劇的に広がっており、平均的な国民は、強い怒りを覚えている。

 国連の報告書によると、中国の約13億人の国民のうち13%は依然として、1日あたり1.25ドル以下で暮らしている。
 一方、「胡潤」がまとめた中国の富豪ランキングによると、
 中国には270万人の百万長者、および251人の億万長者(ともに米ドル)が存在するという。

 最近は特に、党幹部が巨額の富を蓄積していることへの不満が強い。

 党幹部の富蓄積は、薄熙来・前重慶市党委書記をめぐるスキャンダルをきっかけに、注目が高まっている。
 温家宝氏や習近平氏の一族による富蓄積に関する外国メディアの報道を受け、ネットで批判が相次いだ。

 習近平氏は、新総書記として紹介されたあとの演説で、党は汚職問題に取り組まなければならないと表明。
 また胡錦涛国家主席は先週、最後の活動報告で、汚職は党にとって「生きるか死ぬか」の問題と述べた。

<不満抑えるほどの高成長見込めず>

 都市部、農村部を問わず、
 中国国民は一段と反抗心を強め、抗議活動も増加の一途をたどっている。
 それをあおっているのは、技術革命だ。

 一般国民の多くは今や、インスタントメッセージやブログを自在に使いこなし、デモ活動の写真も簡単にとることができる。
 情報規制に神経をとがらせる共産党にとっては、ますます頭の痛い問題になっている。

 これまで、貧富の差拡大といった問題を覆い隠してきたのは絶え間ない経済成長だった。
 だが、急成長が今後も続くのかは極めて疑わしい。

 中国が今後も高成長を維持するためには、投資や輸出よりも消費の拡大に力を入れるなど、経済モデルの転換が必要だが、それには、
 国有企業の支配力を弱めるといった大幅な政策変更が必要
ということになる。

 ニューヨークのコンサルタント会社ロジウム・グループを率いるダニエル・ローゼン氏は「(新指導部が)今すぐに動かなければ、その結果は明確に、すぐに表れる」と指摘。
 「6─9カ月以内にGDP(国内総生産)の伸びは低下する。
 ハネムーンは1年ともたない」
としている。

 共産党は急激な成長を実現することで国民の信認を得てきたが、その成長にも陰りが見え始めている。
 7─9月期のGDP伸び率は7.4%と7四半期連続で鈍化。
 成長がさらに減速すれば不満も高まるだろう。

 足元の成長には持ち直しの動きもみられるが、アナリストは依然、
 成長率は2020年末ごろには10%よりは5%に近くなる
とみている。

 そうなれば党が国粋主義や大衆主義に傾くことが懸念される
 最近の近隣国との領土問題でも、国民の関心をそらそうする動きがみられる。

<改革には「転機」必要>

 理想的には、共産党の新指導部がなるべく早いうちに、政治改革の必要性に気が付くことだ。
 遅くなれば遅くなるほど、改革は困難になる。

 たとえば、国民が意見を表明できる機会をもっと増やせば、不満の鎮静化につながる可能性がある。
 しかし問題は、新指導部がこれまで、政治改革への意欲をまったくといっていいほど示していないことにある。

 指導部に近いある匿名の関係者は
 「安定がすべてに優先される。
 安定への脅威が生じれば、それはまだ芽のうちに摘まれる
と話している。

 指導部がこのように安定維持に固執し、慎重にしか動かないなかでは、何らかの深刻な危機が起きない限りは、改革の加速は難しそうだ。

 1989年には学生を中心とするデモ活動(いわゆる天安門事件)が起きたが、これを受けて当時の共産党指導部では、本格的な政治改革を実行すべきかどうかをめぐって、白熱した議論が交わされた、という。

 ユーラシア・グループのアナリスト、ダミエン・マ氏は
 「党は問題は認識しているが、実際の行動には何らかの『転機』が必要
と述べた。

 最終的には、党の生存本能が、改革に突き進ませるのかもしれない。

(Jason Subler記者、John Ruwitch記者;翻訳 吉川彩;編集 内田慎一)



共産党は急速な成長を実現、国民の多くを貧困から救った。
その実現には多くの副作用が伴っている。
経済成長を背景に収入は拡大したのだが、国民は徐々にこの副作用を我慢しようとしなくなっている
副作用、すなわち汚職や貧富の差拡大といった問題を覆い隠してきたのは絶え間ない経済成長だった。
だが、急成長が今後も続くのかは極めて疑わしい。
バラ色の未来が描けなくなり、将来に見通しのつかない不安を覚えはじめた中国国民は反抗心を強め、抗議活動を実践しはじめた。
それをあおっているのは、ツイッターやブログなどのインターネットの技術革命だ。
その有効性を検証したのが、今回の日中紛争によるデモ政治である。
このデモは全国各地で一斉に実行できるという自信を国民に植え付け、100億円という被害によってその成果を目で確認できるような形で終わった。

当局が反日を煽ればあおるほどデモ実行者は「シメタもの」となる。
反日運動はは党族政治を街頭政治で打ち破る一つの手段として浮上してきた。
当局が経済成長の減速を反日にそらしてガス抜きしようとすればするほど、デモ政治は勢いを増してくる
おそらくこの2つ、つまり
「インターネット革命」と「日中紛争」は中国政体を危機に陥れるトリガーとなる
だろう。

脱中国、ロイター企業調査:日本企業、中国市場の開拓意欲低下

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ロイター 2012年 11月 16日 16:04 JST
http://jp.reuters.com/article/jpchina/idJPTYE8AF04220121116

ロイター企業調査:中国市場の開拓意欲低下
販売拠点はインドネシア重視

[東京 16日 ロイター] 
 日中関係の悪化で中国事業のリスクが再認識されたことを背景に、日本企業の間では、道半ばにあった中国市場の開拓への意欲が低下している。
 新たな販売拠点としてはインドネシアを挙げる企業が最も多く、インド、ベトナムが続いた。

 不買運動だけでなく事業環境全般の悪化を背景に、
 全ての産業で中国市場開拓に慎重な動きが鮮明となっている。
 反日運動が広がった直後の10月と比べて当初の対応は一段落したが、輸送機械や電機、小売ではむしろ事業縮小や投資様子見の動きが広がった。
 新しい習近平体制の下でも強硬な対日政策の長期化を覚悟する企業が多い。

 この調査はロイター短観と同時に実施、調査期間は10月29日から11月12日。
 大企業、中堅企業400社を対象とし、回答は260社程度。
 製造業、非製造業ほぼ同数ずつから回答をもらった。

新規開拓拠点はインドネシアが最多、製造業は4割に

 今後新たな販売拠点として重視している国を聞いたところ、
インドネシアを挙げた企業が全体で39%、
ベトナムやインドが30%程度、
中国は21%にとどまった。
 業種を問わず、ほぼすべての産業で同様の傾向となった。

 製造業では
インドネシアが42%、
インドが41%とほぼ同程度。
中国は26%。
 不買運動の対象となりやすい自動車など最終消費財に限らず、
 部品や機械、素材産業に至るまでこうした傾向が広がっており、ビジネス環境全体が悪化していることをうかがわせる。

 非製造業でも、
インドネシアが36%、
ベトナムが34%。
中国は16%
にとどまった。
 非製造業は、良質のサービスや安心・安全といった日本企業の得意分野であり、中国市場は未開拓の地域や所得層の人口が大きいにも関わらず、企業の関心は相対的に低かった。



 個別企業のコメントをみると、輸送機械セクターでは
 「中国一辺倒ではリスクが高い」
との見方が多く、
 「安定した親日国を選定する」
傾向がうかがえる。
 他の業種からも
 「中国でのビジネス環境は劣悪で、市場の大きさだけでは魅力的には見えない」(電機)
との声も聞かれた。
 インドネシアについては
 「労働人口の確保、生活水準などの点で適正が高い」(繊維)、
 ベトナムは「親日的な国民性や日本的運営手法がなじみやすい」(卸売)
といった理由が挙げられている。

<中国投資慎重化、輸送機械・電機・小売で広がり>

 前月に続いて日中関係の冷え込みに伴う事業計画などの対応を聞いたところ、対応を検討している企業の割合は46%から39%に減少し、やや落ち着きがうかがえる。
 ただ、既存事業の縮小は割合こそ小さいが増加しており、投資延期・見直しも減少していない。
 業種別にみると、投資慎重姿勢が強まっているのは輸送機械で、前回の44%から59%に増加。
 事業縮小や他国への生産シフトといった回答は減少し、中国での事業継続がなお柱となっているが、日本車の不買運動が続くなか、新規投資は凍結せざるを得ない状況となっている。
 投資慎重化にとどまらず事業縮小の動きが広がっているのが電機。
 割合は小さいながら7%が事業縮小、投資延期は23%から41%に増加、他国への生産シフトもやや増加した。
 非製造業では、小売業で事業縮小がゼロ%から16%に増加、投資延期も14%から21%に増加した。



 中国では習近平体制に移行したが、強硬な対日政策が緩和されるとみる企業は6%にとどまり、引き続き日本企業にとっては厳しい環境が続くとみている企業が半数近い。
 29%は現状維持、
 より強硬な姿勢になるとの見方も17%あった。

  「中国の経済状況のさらなる悪化により、
 国民の反政府活動を防止するため、
 今以上に反日活動に力を注ぐだろう」(金属) 、
 「従来以上に制度が恣意(しい)的に運用され、計画が立ちづらくなる」(化学)
といった懸念もあり、投資計画の慎重化につながっている。

<中国事業、製造業の半数が当初計画比減少> 

 今年度の中国関連事業について、製造業では48%の企業が当初計画を下回ると回答した。
 まだわからないとの回答した30%の企業の中からも、下振れとなる企業が出てくる可能性がある。
 最も多かったのは1─3割の減少との回答で、全体の31%を占めた。
 3─5割の減少との回答も8%あった。
 逆に計画を上回る見通しの企業は2%、
 計画通りとの回答は20%だった。



<競争相手は韓国と中国企業>

 日本企業がこの1年間で競り負けた海外企業は、韓国企業とのイメージが強いが、同じ程度に中国企業にも負けている。
 製造業では韓国企業が34%、中国企業が33%とほぼ並んだ。
 欧州企業は24%、米国企業は15%となった。
 負ける理由について、品質や販売力を挙げる企業は皆無で、ほとんどが「価格」を挙げている。



(ロイターニュース 中川泉 編集:山川薫)



 事業計画をわかりやすく簡単にまとめると、
①.半分が当初の計画を下回り、
②.1--3割減少が全体の3割、
③.3--5割減少が8%
④.計画通りが2割
⑤.上向き計画が2%
ということになる。


 ところでインドはわかるが、誰もが挙げるインドネシアってどういう状態なのだろう。
 中国人が世界でもっとも多く住む国、というイメージなのだが。


ニューズウイーク 2012年11月12日(月)14時45分 ジェームズ・パーカー
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2012/11/post-2761.php

どん底の世界経済であの国が独り勝ち?
陰りが見える中国経済に代わって、インドネシアの躍進を期待する声が高まっている理由
The Next Asian Tiger:次のアジアのトラ

[2012年10月17日号掲載]

 サブプライム住宅ローン市場の崩壊と、それに続く世界的な経済危機を見事に予測した、アメリカの経済学者ヌリエル・ルービニ。
 現在も世界経済の行方にはかなり悲観的で、特に来年の中国経済には厳しい見方をしている。

 そんなルービニも過去2年間、インドネシアに関しては楽観的だった。
 IMFもインドネシアの今年のGDP成長率を6%と予想している。

 インドネシアは過去15年間、いくつもの障害をうまく乗り越えてきた。
 アジア金融危機に政治的な構造改革、04年の壊滅的な津波、政情不安などだ。
 インドネシアには石炭、パーム油、木材といった巨額の対外投資を引き付ける重要な市場もある。
 世界第4位となる2億3000万の人口を抱えている点も、投資や事業拡大の対象として魅力的だ。

 この国の将来を楽観視しているのはルービニだけではない。
 IMFとOECD(経済協力開発機構)は最近、インドネシア経済に関する好意的な報告書を公表した。

■内需の強さが切り札

 インドネシアの大きな強みの1つは、国内需要のGDPに占める割合だ。
 他の輸出依存型の国はGDPに占める国内消費の割合が危険なほど低いが、インドネシアの国内需要はGDPの3分の2に当たる。
 世界的に需要が低迷するなかで、内需の強さは切り札となる。

 成長を脅かす弱点を探すとすれば、主な貿易相手国である中国の成長神話が崩れかけていることだ。
 貿易収支がこのところ赤字続きなのも気になるところ。
 政府は、国内企業がより付加価値の高い商品を輸入するようになったからだ、と動じていないが、注意する必要はある。

 もう1つの問題は、クレディ・リヨネ証券アジアのアジア市場に関する最近の評価で、インドネシアのランキングが最下位だったこと。
 統治や規制環境などに関する評価が極めて低かったためだ。
 こうした問題に対処しなければ、経済的な成長は頭打ちになるだろう。

 それでも、過去にはもっと大きな荒波を乗り越えてきたインドネシアのこと。
 成長は維持されているし、政府は必要とあれば十分な経済政策や支援を行える状況にある。
 やる気さえあれば、今の勢いを持続できるのだ。

 あのルービニさえも味方とあって、インドネシア政府は相当の自信を付けているだろう。

From the-diplomat.com





【中国共産党第18回全国代表大会】


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吸血イカ:2万0253社に上る国有事業会社

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● ロイターより




ロイター 2012年 11月 15日 10:32 JST By John Foley
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE8AE00M20121115

コラム:中国新指導部、「生き血」吸う国有企業の改革が鍵に

[北京 13日 ロイターBreakingviews] 

 「吸血イカ」とは米金融大手ゴールドマン・サックスに付けられたあだ名だが、中国では国有企業がまさにそれに当たる。
 2万0253社に上る国有事業会社は資本を吸い上げる一方、そこからの還元は非常に少ない。
 コストは低く、経営陣の力は強い。

 もし中国の新しい指導者たちが、国民の富を増やしたいと真剣に考えているなら、こうした巨大国有企業を普通の会社と同じように行動させる必要がある。

 国有企業を肥やしているのは低金利の融資だが、それを可能としている理由の1つが中国共産党とのつながりだ。
 強力な企業トップと党幹部にとって、国有銀行などの支店長クラスに圧力をかけるなどたやすいことだ。

 政府の暗黙のお墨付きがあるということも、国有企業が巨大化した原因となっている。
 国有企業もしくはそれに貸し出す銀行が、完全に破たんするということは事実上あり得ない。
 銀行にしても安全な借り手に貸す方が得策だろう。

 一方、国有企業から還元される利益はわずかだ。中央政府の管理監督下にある国有企業117社の過去8年間の利益は毎年20%前後の伸びを見せてきたが、多くの場合、配当性向は10―15%だった。
 余剰資金は再投資されるか、より大規模な投資に備えて銀行に預けられるかのどちらかだ。

 こうしたことは、中国で過去10年間、企業の預金高が個人預金高を上回っていることや、支出全体に占める個人消費の割合が増えない背景にもなっている。

 厳しい株主なら当然高い配当金を要求してくるだろう。
 しかし、国有企業のトップの多くは党の中枢に深く入り込んでいる。
 2010年末時点で都市就労者の半数が国有企業で働く中、国有企業の影響力は強さを増すばかりだ。

 もし中国の新指導者たちが家計所得を増やすことを真剣に考えているなら、国有企業を抑え込み、資本の一部をサービス部門や民営企業に回す必要があるだろう。
 少なくとも国有企業の監督強化や、政治に無関係な人物をトップに据えるといったことは必要だ。

 この「吸血イカ」を手なずけることができなければ、中国経済の「生き血」はすっかり吸い取られてしまうだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。





【中国共産党第18回全国代表大会】


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2012年11月16日金曜日

反日行動に無言の反撃:中国離れの動き

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ブルームバーグ 更新日時: 2012/11/12 09:35 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCSPJ01A74E901.html

反日行動に無言の反撃、自動車業界に中国離れの動き-近隣へ

  11月12日(ブルームバーグ):中国での反日デモや不買運動の影響を受けた日本の自動車関連業界では、現地で新規に投資するのを控えようとする動きが出ている。
 景気が減速する中国にとっては海外からの直接投資の減少に拍車がかかるほか、
 日本の先端技術を取り込みにくくなる可能性があり、
 長期的には中国側も日中対立の影響を被りそうだ。

 自動車用ねじや精密部品などを製造するフセラシ(大阪府東大阪市)の嶋田守社長は10月、マレーシアやインドネシアなど東南アジア諸国へ出張した。
 本来の訪問先は中国の予定だったが、反日デモの激化でキャンセルした。
 中国で生産能力増強を考えていたが、事業リスクを考慮し、今後は東南アジアに切り替えることを検討している。

 フセラシは非上場で、トヨタ自動車 や日産自動車 、ホンダ などの大手メーカーに部品を供給。
 嶋田社長は10月のインタビューで、自動車メーカー側から今後の中国投資に関する方針は示されていないと前置きした上で、今後の現地事業について楽観視しておらず、日本車需要が従来の水準へ戻るのに時間がかかるかもしれないと指摘。
 「今までのように中国でどんどん事業を加速させる雰囲気ではない。
 現状の生産能力は維持しながら、新しい投資に関しては他の国で、ということになるのではないか」
と話した。

 海外から中国への直接投資は減少気味だ。
 9月は前年同月比6.8%減の84億3000万ドル(約6800億円)、1-9月は前年同期比3.8%減の834 億ドル。
 過去11カ月のうち10カ月で前年水準を割り込んだ。
 中国の7-9月(第3四半期)成長率は7.4%と、この3年余りで最低だった。

対中直接投資は半年ぐらい減少傾向も

 ニッセイ基礎研究所の三尾幸吉郎上席主任研究員は、自動車産業のような製造業は雇用創出力が高いとし、中国への影響として雇用減少とそれに伴う景気後退を挙げ、
 「現在の景気減速の流れが加速しかねない」
とコメントした。
 これまでも中国で反日行動が激化すると、日本からの投資は減ったと指摘。
 過去の例では欧米からの投資増が補ったが、世界経済の状況を考えると欧米からの投資急増は考えにくく、
 中国への直接投資は、今後半年ぐらい減少傾向を続けるのではないかと話した。

 日本貿易振興機構(JETRO)のウェブサイトによると、11年の中国への海外からの直接投資額(金融分野を除く)約1160億ドル(約9兆3000億円)のうち、日本は63億4800万ドルで、香港と台湾に次ぐ3位、全体の5.5%だった。
 これにシンガポールを加えた上位4カ国・地域で83%を占める。
 日本からの対中直接投資は99年以降、ほぼ増加傾向にあり、07年まで8年間で8.5倍に膨れ上がっていた。

 中国からのシフトを検討する会社はフセラシだけではない。
 自動車用ワイヤーハーネスで世界シェア2位、住友電気工業 の松本正義社長は10月31日の決算会見で、今回の激しい反日デモでリスクを再認識し
 「一線を画したほうがいいのではないか
と感じたという。

労働コストは「安くない」

 松本氏は、かつて世界の工場として注目を集めた中国について、最近は賃金が大幅に上昇し、労働コストは「安くない」と指摘。
 ミャンマーやベトナムなど
 「コストが安くて親日的な国」
は他にもあると述べ、今後は中国への投資は内需の増加分にとどめ、輸出に関してはそうした周辺諸国に移したいとの考えを示した。
 移転したほうが収益面でもプラスになるといい、他の自動車部品メーカーの経営者にも同じような考えを持っている人は多いという。

 国内4位のタイヤメーカー、東洋ゴム工業 の中倉健二社長は9月のインタビューで、反日デモで日本企業は中国リスクを再認識したのではないかと指摘。
 今後の能力増強投資はマレーシアなど他国に傾く可能性があると述べていた。

新工場稼働を凍結

 自動車用ランプを製造する小糸製作所 は、中国・広州工場で建設中の新工場の稼働を当面凍結することを決めた。
 広報担当の唐沢晋自氏によると、ヘッドランプの生産能力を年150万台へ一気に3倍に増やす計画だったが、今は工場の建設作業は進めているものの、生産設備の導入を止めている。
 「需要がまったく読めない状況
で、凍結解除の時期はいつごろになるかは分からないとした。

 大和総研経済調査部の橋本政彦エコノミストは10月19日付のリポートで、
 日本からの対中輸出が1カ月停止した場合、国内総生産(GDP)を8200億円押し下げると試算。
 日本の貿易量全体に占める対中取引の比重が、中国の貿易に日本が占める割合より大きいため、直接的な影響は日本の方が大きいとした上で、製造業の投資が減れば、中国側も当然、一定の影響を受けるとした。

 尖閣諸島をめぐり日本政府が9月に国有化を表明後、中国各地で反日デモが起こった。
 日系自動車販売店への放火などもあり、日本メーカー各社は一時、一部工場で操業停止など生産調整を余儀なくされた。
 9月の中国販売台数は、トヨタが前年同月比49%減、ホンダと日産自はそれぞれ41%、35%の減少。
 ホンダと日産自が今期(13年3月期)純利益予想をいずれも従来比で20%減額するなど、業績面に影響も出ている。

 自動車メーカーでも反日デモ後、中国以外のアジア生産を強化する動きが目立っている。
 国内最大手のトヨタは東南アジア地域の生産拠点と位置付けるタイで生産能力増強の予定だ。
 今年の現地生産は前年比7割増の88万台の計画で、将来は100万台程度へ引き上げる。
 インドネシアでも部品調達を含め現地の生産能力増強を計画している。
 また、主力小型車「マーチ」をタイで生産し日本へ逆輸入する日産自も、戦略的輸出拠点の現地に新工場を建設するなど設備増強を進めている。

自分たちの首絞める

 中国経済に詳しい関西学院大学国際学部の伊藤正一学部長は、
 日中対立が続けば中国にとって日本の最先端技術を吸収する機会が失われるデメリットもあるとみている。

 伊藤氏は
 「精密機械など高度な技術を必要とする工業製品はいまだに日本メーカーが圧倒的に優位に立っている」
と指摘。
 従来のような労働集約型から高付加価値の産業に移行する時期に差し掛かっている中国にとって、日本の先端技術の生産が中国から離れれば、
 「中国では技術的に高いものつくるのが困難になる
 長期的には自分たちの首を絞めるようなことになるのではないか
と話した。

 大和総研の橋本氏は、海外から投資資金を受け入れて成長してきた中国にとって最悪のシナリオは、欧米などの企業が日本に追随することだという。
 「日本企業が移転を検討する根っこの理由は中国の人件費が上がっていること」
と指摘。
 同様に中国の賃金上昇に頭を悩ます欧米企業経営者が、日本製品への破壊活動など中国人の過激な行動にリスクを感じて国外に生産をシフトする流れになれば、
 「資本と技術の両方が流出することになり、中国にとって厳しい
と話した。

中国失ってもブラジルなどの新興国ある

 ハイブリッド車用など先端技術を駆使した部品も手がけるフセラシの嶋田氏は、中国で検討していた増産計画について、既に拠点があるタイで行うことを検討している。
 尖閣諸島は日本の領土であり、
 「自国の領土を侵されてまで商売をやる必要はまったくない
と考えているという。

 仮にそれで中国の市場を失ったとしても、
 「ブラジルなど他の新興国に経営資源を集中し、シェアをすべて奪うぐらいのつもりで取り組めばいい
と述べ、
 「そのときになれば、 中国人も思い知るのではないか」
と語った。

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記事についての記者への問い合わせ先:大阪 堀江政嗣 mhorie3@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Young-Sam Cho ycho2@bloomberg.net





レコードチャイナ 配信日時:2012年11月16日 19時29分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=66529&type=0

最もビジネスしやすい国
=アジア首位は3位の香港、日本は31位、中国は96位―米誌

 2012年11月14日、米誌フォーブスは2012年版の
 「世界で最もビジネスしやすい国(Best Countries for Business)」
を発表。
 首位にはニュージーランドがランクインし、アジア首位は3位の香港となった。
 人民日報(電子版)の報道。

 世界141の国と地域を対象に、税制、投資家の保護制度、証券市場の収益率、個人の自由度、イノベーション環境など11項目について調査した総合評価。

 上位10位は、
 1位・ニュージーランド、
 2位・デンマーク、
 3位・香港、
 4位・シンガポール、
 5位・カナダ、
 6位・アイルランド、
 7位・スウェーデン、
 8位・ノルウェー、
 9位・フィンランド、
 10位・英国
だった。

 アジア主要国の順位は3位だった香港を筆頭に、4位シンガポールで、以下
 16位・台湾、
 29位・韓国、
 30位・日本、
 31位・マレーシア。
 香港は貿易・金融が世界で最も活発な土地柄に加え、税率の低さや高い経済成長率(2011年=5%)、低い失業率(2011年3.2%)が評価された。

 中国は96位。
 今秋から尖閣諸島をめぐる領土問題で日中関係が冷え込んでおり、中国の日系企業が脱中国の傾向にあることも「ビジネスに不向き」との印象を与えた。
 しかし、日系企業の国外移転はこれだけが原因ではなく、以前から問題となっていた生産コストの上昇などが背景になったとみられている。