2012年11月5日月曜日

4派の血みどろの権力闘争と国家を食い物にしたスパー汚職の時代へ

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●8日、中国共産党第18回党大会が北京の人民大会堂で開幕。日本の各メディアも大きな関心を寄せているが、どの報道も次期リーダーとなる習近平国家副主席への同情にあふれている。写真は習氏。




サーチナニュース 2012/11/05(月) 18:33
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1105&f=politics_1105_012.shtml

公式文書から消えたマルクス主義、「脱毛沢東化」進める中国共産党

  中国共産党の第17回中央委員会第7回総会(7中総会)が4日閉幕した。
 総会の公式コミュニケに、党が長年堅持してきた「マルクス・レーニン主義と毛沢東思想」という教条的な文言はなかった。
 専門家は
 「党がイデオロギー改革を進めようという重大な変化」
だとみている。
 米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が5日伝えた。

  国営新華社通信が4日発表した総会コミュニケには、
 「党中央政治局は…トウ小平理論と(江沢民前国家主席の)『3つの代表』を重要な指導思想とし、(胡錦濤国家主席の)科学的発展観をさらに掘り下げて着実に実行し…」
と記されている。(トウは登におおざと)

  この総会コミュニケと最近の官製メディア報道は同じで、従来のように「トウ小平理論」の前に「マルクス・レーニン主義と毛沢東思想」という枕詞を置いていない。 
 これは中国共産党の公式文書ではかつてなかった表現だ。
 党は長いこと祭ってきた時代に合わない“祖先の位牌”を捨て去るつもりのようだ。

  中国人民解放軍の退役将校で歴史学者の辛子陵氏は、7中総会のコミュニケに「マルクス・レーニン主義と毛沢東思想」の文言が登場しなかったのは「重大な変化」とみている。
 これは中国の改革が今後イデオロギー改革にまで及ぶことを意味しており、「イデオロギー改革の転換点」だという。

  「中国の改革開放は、はっきり言えば、共産党の指導下で資本主義の経営方式をやって、経済を発展させることだ。
 しかしこれはマルクス・レーニン主義や毛沢東思想とは合わない。
 いわゆる『中国の特色ある社会主義』(事実上の資本主義)を発展させるには非常に具合が悪い」

  辛氏によれば、党内では早くからイデオロギー改革により経済政策の妨げになるマルクス・レーニン主義と毛沢東思想を取り除くよう根回しをしていたという。
 イデオロギー改革でこのドグマを捨て去らねば経済改革はやっていけない。
 政治改革はなおさらだ。

  しかし重慶で毛沢東時代の革命歌を歌う運動(唱紅)を展開した薄熙来氏や党内保守派は、毛沢東の旗印を掲げることで現在の党中央指導部の「修正主義」を暗に攻撃していた。

  8日から開かれる第18回党大会では党規約が改正される予定だ。
 党が権威的な思想理論としてずっと掲げてきた「マルクス・レーニン主義と毛沢東思想」が新しい党規約でどのように処理されるのかが焦点のひとつとなっている。

  もっとも、趙紫陽元総書記の秘書だった鮑トウ氏(トウは丹にさんづくり)は、
 「トウ小平理論にも毛沢東思想を旗印に掲げるという内容が含まれている。
 従って次の習近平指導部が本当に『脱毛沢東化』を進めるかどうかは、まだ断定できない」
と慎重な見方をしている。




サーチナニュース 2012/11/05(月) 15:13
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1105&f=politics_1105_009.shtml

中国共産党の7中総会閉幕、薄熙来氏の党籍剥奪と党規約改正案承認

  中国共産党の第18回党大会に向けて今月1日から北京で開かれていた第17回中央委員会第7回総会(7中総会)が4日閉幕した。
 総会では薄熙来前重慶市党委書記らの党籍剥奪処分が確認され、党規約改正案が承認された。
 発表された総会コミュニケには「毛沢東思想」への言及がなく、海外メディアは8日に開幕する党大会の「脱毛沢東化」に注目している。

  米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によれば、7中総会閉会にあたって記者会見などはなく、中国国営新華社通信が4日晩に総会の閉幕を速報で伝えた。

  総会では汚職や「重大な規律違反」で失脚した薄熙来前重慶市党委書記と劉志軍前鉄道相に対し、それぞれ今年9月と5月になされた党籍剥奪処分を確認した。

  また8日から北京で第18回党大会を開くことを正式に決定。
 現在北京市内は党大会に向けて警備が強化されており、治安維持ボランティア140万人が各所に配置されている。

  総会では党大会で採択する党規約の改正案も承認された。
 海外メディアは党規約改正により「脱毛沢東化」が進められるとみて注目している。
 新華社の報道では改正案の詳細は明らかにされていないが、発表された総会コミュニケには「毛沢東思想」の文言は登場せず、
 「トウ小平理論」(トウは登におおざと)と
 江沢民前国家主席の「3つの代表」、
 および胡錦濤国家主席の「科学的発展観」
が掲げられている。


 見えるところでいうと、共産党には4つの派閥がある
 旧勢力の江沢民派、現勢力の胡錦濤派、そしてこれから権力を握ろうとしている習近平派、そしていまなお隠然とした力を持つ毛沢東派。
 その毛沢東派の一人が薄熙来であった。
 彼が粛清され、毛沢東思想が脇に置かれていわゆる「脱毛沢東化」が進められているのが、いまの共産党の権力構図ということになる。
 しかし、毛沢東派がこのまま引き下がるはずもない。
 どこかで巻き返しを計ってくる。
 習近平のこれからの10年は
 この4派の血みどろの権力闘争と国家を食い物にしたスパー汚職に彩られた時代を迎える
ことになるだろう。



ロイター 2012年 11月 7日 09:34 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE8A600820121107?feedType=RSS&feedName=worldNews

中国の胡主席と習副主席、新指導部選出で初の選挙実施提案=関係筋

[北京 6日 ロイター] 
 中国共産党は8日から第18回党大会を開催する。
 複数の関係筋によると、胡錦濤・国家主席と習近平・国家副主席の2人は、次期指導部の選出にあたって民主的手続きを取り入れて初めての選挙を実施することを提案している。

 3人の関係筋は、胡氏と習氏が5年に1度の同大会で党指導部である政治局員を選ぶ際に、初めての選挙を行うことを提案していると明らかにした。
 現在の政治局は24人の局員で構成されるが、同案では定員を最大20%上回る人数の候補者を立てて選挙を実施し、今回の党大会で選出される約200人の中央委員が票を投じるとしている。
 政治局員はこれまで、旧指導部が党内抗争の結果を踏まえて事前に選んだ候補者リストをそのまま承認するのが慣習で、外部からは選出プロセスが不透明だった。

 今回の提案は、国民や外部に対して選出プロセスの透明性をアピールする狙いがあるとみられる。
 同様の選挙が、最高指導部である政治局常務委員の選出でも実施されるかどうかは明らかではない。

 関係筋の1人は「胡主席は、党内の民主化推進を実績の1つとしたい意向だ。 
 また習副主席のイメージにとってもいいことだ」と語った。

 米ワシントンのシンクタンク、ブルッキングス研究所のシニア・フェロー、Cheng Li氏は
 「これは非常に重大な進展だ」
との見方を示した。

 ただし、Li氏ら専門家は、党のほかの上層部から反対が出る可能性もあり、胡氏と習氏の提案が採用されるかどうかについては依然不透明な状況だと指摘している。
 胡主席は党大会最終日に習副主席に党総書記の座を引き継ぎ、第5世代の党指導部が発足する予定。

 国家主席ポストについては、来年3月に開催される全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、胡主席が習副主席に引き継ぐ見通し。





ニューズウイーク 2012年11月06日(火)15時17分 長岡義博(本誌記者)
 http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2012/11/post-2754.php

中国政治:薄煕来の処分から占う中国新体制

China's Power Change
党籍剥奪という厳しい処分は、対日強硬路線と同様、新指導部人事を巡る権力闘争だった

[2012年10月10日号掲載]

 重慶市副市長がアメリカ総領事館に駆け込む、という前代未聞の不祥事で中国共産党指導部に激震が走ってから8カ月。
 共産党は先週、ようやく胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席から習近平(シー・チーピン)副主席へトップの座をバトンタッチする党大会を11月8日に開くと発表した。

 2月の駆け込み騒動以来、指導部は重慶市トップだった簿熙来(ポー・シーライ)のスキャンダルで大揺れに揺れてきた。
 騒動をきっかけに薄の妻によるイギリス人毒殺事件が暴かれ、事件は薄自身の解任劇へと拡大。
 そのあおりを受け、薄が目指していた社会主義回帰路線と、胡や温家宝(ウェン・チアパオ)首相が支持する成長・開放重視路線の対立が表面化した。

 従来は8月末に行われる党大会の日程発表がここまでずれ込んだのは、党内対立のあおりで駆け引きが複雑化し、新指導部の人事がなかなか固まらなかったため、とみられている。
 これまで9人だった最高指導部に当たる政治局常務委員の数が7人に減るという見方もあるが、肝心の人選は党大会最終日まではっきりしないだろう。

 ただ、新体制を探るヒントはある。 
 党大会の日程と同時に公表された薄の最終処分だ。
 薄は党籍を剥奪、一切の公職から追放された上で、収賄などの犯罪行為を司法機関から追及されることになった。

 当初は党籍を剥奪されないという見方もあった薄に厳しい処分が下ったのは、後ろ盾だった保守派が対立する胡に押し切られたことを意味する。
 勢いを得た胡は前任者ののように、しばらく軍トップの座に居座り影響力を残すかもしれない。
 胡が尖閣問題で反日デモを容認し、日本に強硬姿勢を示したのも、対立する保守派をにらんだ動きだった可能性がある。

 もっとも、胡自身も決して無傷ではない。
 側近の息子がフェラーリの無謀運転で事故死し、この側近が降格されるという不祥事も発生。
 習や李克強(リー・コーチアン)副首相の選出はほぼ動かないが、それ以外の人選は保守派との妥協の産物になるかもしれない。

 今回、党大会開催を発表する新華社の文章から、従来は必ず書かれてきた「毛沢東思想を堅持する」という表現が消えた。
 毛沢東をシンボルに掲げた社会主義回帰路線の排除を強調するためとみられるが、共産党が建国の最大の功労者と位置付ける毛を抹消するのは一大事だ。

 それほど今回のスキャンダルが党にとって深刻だった、ということだろう。




【中国共産党第18回全国代表大会】


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