2012年11月17日土曜日

吸血イカ:2万0253社に上る国有事業会社

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● ロイターより




ロイター 2012年 11月 15日 10:32 JST By John Foley
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE8AE00M20121115

コラム:中国新指導部、「生き血」吸う国有企業の改革が鍵に

[北京 13日 ロイターBreakingviews] 

 「吸血イカ」とは米金融大手ゴールドマン・サックスに付けられたあだ名だが、中国では国有企業がまさにそれに当たる。
 2万0253社に上る国有事業会社は資本を吸い上げる一方、そこからの還元は非常に少ない。
 コストは低く、経営陣の力は強い。

 もし中国の新しい指導者たちが、国民の富を増やしたいと真剣に考えているなら、こうした巨大国有企業を普通の会社と同じように行動させる必要がある。

 国有企業を肥やしているのは低金利の融資だが、それを可能としている理由の1つが中国共産党とのつながりだ。
 強力な企業トップと党幹部にとって、国有銀行などの支店長クラスに圧力をかけるなどたやすいことだ。

 政府の暗黙のお墨付きがあるということも、国有企業が巨大化した原因となっている。
 国有企業もしくはそれに貸し出す銀行が、完全に破たんするということは事実上あり得ない。
 銀行にしても安全な借り手に貸す方が得策だろう。

 一方、国有企業から還元される利益はわずかだ。中央政府の管理監督下にある国有企業117社の過去8年間の利益は毎年20%前後の伸びを見せてきたが、多くの場合、配当性向は10―15%だった。
 余剰資金は再投資されるか、より大規模な投資に備えて銀行に預けられるかのどちらかだ。

 こうしたことは、中国で過去10年間、企業の預金高が個人預金高を上回っていることや、支出全体に占める個人消費の割合が増えない背景にもなっている。

 厳しい株主なら当然高い配当金を要求してくるだろう。
 しかし、国有企業のトップの多くは党の中枢に深く入り込んでいる。
 2010年末時点で都市就労者の半数が国有企業で働く中、国有企業の影響力は強さを増すばかりだ。

 もし中国の新指導者たちが家計所得を増やすことを真剣に考えているなら、国有企業を抑え込み、資本の一部をサービス部門や民営企業に回す必要があるだろう。
 少なくとも国有企業の監督強化や、政治に無関係な人物をトップに据えるといったことは必要だ。

 この「吸血イカ」を手なずけることができなければ、中国経済の「生き血」はすっかり吸い取られてしまうだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。





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