2012年11月13日火曜日

中国共産党大会:西側メディアへの堅いガードで透明性後退

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ロイター 2012年 11月 13日 14:50 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE8AC03220121113

アングル:中国共産党大会、西側メディアへの堅いガードで透明性後退

[北京 13日 ロイター] 北京五輪の前年の2007年に開かれた第17回中国共産党大会では、政治指導者たちが党大会の透明性を世界にアピールしようとし、外国メディアにも取材を開放するという異例の措置を打ち出した。

 しかし現在開催中の第18回大会は、重慶市の元トップだった薄熙来氏の失脚というここ30年で最大の政治スキャンダルや、厄介な指導部交代問題が影を落とし、少なくとも政治政策に関する限り、党大会の透明性向上の努力は後退してしまった。

 最高指導部である政治局常務委員の1人に選出されると目される張高麗・天津市党委員会書記は、先週公開された各省代表団の討論会ではほとんど口を開かず、党中央に抜擢される見通しについて聞かれても「私は現在、天津市の党委書記だ」などと語るのみで、直接答えようとしなかった。

 前回の党大会では、党幹部が報道機関の個別インタビューに応じ、海外メディアの記者は好きなことを質問するよう奨励され、政府のメディア担当者が格別に手助けをして回った。
 北京五輪に向けて中国の対外イメージを高めようという思惑からだった。

 これに対して今回は、経済関係の当局者や企業トップは総じて積極的に発言するものの、各省の指導者や頭角を現しつつある幹部はほとんどが海外メディアに背を向け、公的な場ですらしゃべろうとしない人がいる。

 言葉を発した人でさえ、その内容は過剰なほどに慎重だ。
 西側の中国ウオッチャーから政治改革の旗手とみなされている汪洋・広東省党委書記は改革について尋ねられると、かたくななほど党の方針に忠実な姿勢を示した。

 汪洋氏は記者団に対して
 「われわれは18回党大会のテーマに従い改革を推進していく。
 改革に向けた次の各措置については、胡錦濤・国家主席が既に明示しており、ここであなた方のためにわざわざ繰り返したくない」
と述べただけだった。

 過去の党大会と比べて指導者への取材機会がないことを聞かれた幹部たちの反応はとげとげしい。
 共産党にとって革命の聖地である延安市の姚引良・党委書記は
 「その種の質問を私にすべきではない。
 わたしは何も知らない」
と吐き捨て、足早に記者団から遠ざかって行った。

 「国境なき記者団」の調べでは、報道の自由ランキングで中国より下に位置するのは、エリトリア、北朝鮮、トルクメニスタン、シリア、イランにすぎない。

<行き止まりのツイート>

 中国国営メディアは、党大会の取材可能範囲について好意的な見方を発信している。
 国営新華社は簡易投稿サイト「ツイッター」の公式アカウントで大会の様子を伝えている。
 ただし中国国内では、ツイッターが米交流サイトの「フェイスブック」や動画投稿サイト「ユーチューブ」などとともに、閲覧が禁止されていることへの言及は見当たらない。

 政治指導者への記者からの質問は、当然ながら新華社や中央テレビ局(CCTV)、人民日報といったメディアからに限られ、答えはあらかじめ用意された原稿を読み上げるだけだ。

 共産党の支配に対する抗議でチベット族の住民の焼身自殺やデモの頻発に見舞われている青海省や甘粛省の党代表は、政治的に過敏になっている。
 甘粛省の代表は10項目の質問を受け付けたが、その場にいた唯一の西側記者から出された一つの質問には回答を拒否。
 青海省の代表は質問を受け付けさえしなかった。

 盲目の人権保護活動家で渡米した陳光誠氏についてロイターの記者から質問された、陳氏の出身地の山東省当局者は、米中両国であれだけの外交問題になったにもかかわらず、陳氏など知らないと言い放った。

 失脚した薄熙来氏の後に重慶市の党委書記を引き継いだ張徳江副首相は、国営メディアからの毒にも薬にもならない質問が立て続けに三つ出た後、西側記者団が無視されたのを声高に批判すると、ようやく薄氏の問題について短く答えた。

 もっとも中には雲南省の李紀恒・省長のように、記者団からの質問を喜んでさばく幹部も一部には存在するようだ。

(Ben Blanchard、Terril Yue Jones記者)




ロイター 2012年 11月 8日 07:35 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK826567320121107?rpc=188

再送:〔情報BOX〕第18回中国共産党大会について
*この記事は6日に配信しました。

 [6日 ロイター] 中国共産党は、8日から第18回党大会を開催し、第5世代の党指導部が発足する見通し。

 党大会のプロセスやポイントは以下の通り。

 ◎アジェンダ

 ─5年に1度開催される党大会は約1週間続き、事前に選抜された候補者の中から、中央委員会のメンバーを選ぶ。
 同委員会は約370人の中央委員と、その補欠に当たる中央委員候補から構成される。
 事前に選ばれる候補者数は370人をわずかに上回る程度にすぎないとみられている。

 ─党大会閉幕の翌日に開催される第1回中央委員会全体会議(1中全会)で、これも事前に選ばれた候補者リストから25人ほどの党指導部である政治局員を選ぶ。
 この候補者リストは数カ月に及ぶ党内抗争の結果を踏まえ、現在の指導部が作成する。

 ─新たな最高指導部である政治局常務委員は、1日で終了する1中全会後に明らかになる。
 政治局常務委員は、機動的な政策決定を行うため、現在の9人から7人に減らされるとの見方が優勢だ。

 ─その他の人事も党大会期間中、もしくは党大会以前に決定される。
 この中には、省のトップである党委員会書記や省長、国営企業のトップも含まれている。

 ─党大会の最終日には、習近平・国家副主席が胡錦濤・国家主席から党総書記の座を引き継ぐ予定。
 習副主席は来年3月に開催される全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で国家主席に就任する。

  焦点は、胡主席が軍のトップである党中央軍事委員会主席の座も明け渡すかどうかだ。
  江沢民・前国家主席は党総書記を退いてからも、軍トップの座に2年間とどまり続けた。

 ◎政策

 ─党大会初日には、胡錦濤・党総書記(国家主席)が政治報告を行い、過去5年間に党が達成した活動内容と、今後5年間の展望を示す。
 演説内容の詳細は、事前に明らかになることはない。

 ─党大会を前に、国営メディアや学者らのキャッチフレーズは「改革」となっている。
 中国の専門家らは、新指導部が遅々として進まない改革を推し進めなければ、中国は経済停滞のリスクを抱え、社会不安が深まり、究極的には党の権威を揺るがしかねない危機に発展する可能性があると指摘している。

 ─改革の支持者らは、次期最高指導者となる習近平氏に対し、国営企業優遇措置の撤廃や、地方出身者に対する都市移住規制の緩和、土地収用に頼る地方財政システムの変更、そして何よりも、経済成長を抑え、社会の不満を増長させる恐れがあるとみなす国家権力の抑制を求めている。

 ─政治改革の要求に対しては、一定の努力がみられる可能性がある。
 ただ、完全な民主化が実現するとみる向きはいない。

 党内の民主化を拡大するために実験的な試みを打ち出し、党内議論を活発化させる可能性がある。
 ただ、安定が最重要であることに変わりはなく、一党独裁体制も維持される見通し。

 ◎開催地と期間

 ─国営メディアは、党大会の開催期間に言及していないが、2007年に開催された第17回党大会は約1週間続いた。

 ─党大会は北京の人民大会堂で全てのセッションが開かれる。
 ただ、胡総書記の報告や指導部の候補者リストを議論するグループ会合の大半は非公開で、北京西部のJingxi Hotelで開催される。

 ◎党大会代表

 ─中国共産党は、1921年に上海で開催された第1回党大会で創立された。
 この大会には若き日の毛沢東を含め13人が、国内で60人に満たなかったマルクス主義の活動家を代表していた。
 党は内戦を経て、1949年に中国における政権を確立した。

 ─第18回党大会には、現在の国家指導者や国務院(内閣に相当)の大臣、軍幹部、省トップや省長、主要都市の市長、国営の大型企業や銀行の幹部らが集まる。

 ─全部で2270人の代表は、今回の党大会に出席するために選ばれた。

 ─約30%の代表は、「一般市民代表」としての役割を担うため、地方当局によって慎重に選ばれた。
 この中には農民や労働者、教師、医者、科学者らあらゆる階層が含まれている。

 党員は現在、8200万人超に及んでいる。

 ─有名な代表には、毛沢東の孫である毛新宇氏や、ロンドン五輪の女子バドミントン競技で金メダルを獲得した趙芸蕾氏らがいる。

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【中国共産党第18回全国代表大会】


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