2012年11月17日土曜日

脱中国、ロイター企業調査:日本企業、中国市場の開拓意欲低下

_




ロイター 2012年 11月 16日 16:04 JST
http://jp.reuters.com/article/jpchina/idJPTYE8AF04220121116

ロイター企業調査:中国市場の開拓意欲低下
販売拠点はインドネシア重視

[東京 16日 ロイター] 
 日中関係の悪化で中国事業のリスクが再認識されたことを背景に、日本企業の間では、道半ばにあった中国市場の開拓への意欲が低下している。
 新たな販売拠点としてはインドネシアを挙げる企業が最も多く、インド、ベトナムが続いた。

 不買運動だけでなく事業環境全般の悪化を背景に、
 全ての産業で中国市場開拓に慎重な動きが鮮明となっている。
 反日運動が広がった直後の10月と比べて当初の対応は一段落したが、輸送機械や電機、小売ではむしろ事業縮小や投資様子見の動きが広がった。
 新しい習近平体制の下でも強硬な対日政策の長期化を覚悟する企業が多い。

 この調査はロイター短観と同時に実施、調査期間は10月29日から11月12日。
 大企業、中堅企業400社を対象とし、回答は260社程度。
 製造業、非製造業ほぼ同数ずつから回答をもらった。

新規開拓拠点はインドネシアが最多、製造業は4割に

 今後新たな販売拠点として重視している国を聞いたところ、
インドネシアを挙げた企業が全体で39%、
ベトナムやインドが30%程度、
中国は21%にとどまった。
 業種を問わず、ほぼすべての産業で同様の傾向となった。

 製造業では
インドネシアが42%、
インドが41%とほぼ同程度。
中国は26%。
 不買運動の対象となりやすい自動車など最終消費財に限らず、
 部品や機械、素材産業に至るまでこうした傾向が広がっており、ビジネス環境全体が悪化していることをうかがわせる。

 非製造業でも、
インドネシアが36%、
ベトナムが34%。
中国は16%
にとどまった。
 非製造業は、良質のサービスや安心・安全といった日本企業の得意分野であり、中国市場は未開拓の地域や所得層の人口が大きいにも関わらず、企業の関心は相対的に低かった。



 個別企業のコメントをみると、輸送機械セクターでは
 「中国一辺倒ではリスクが高い」
との見方が多く、
 「安定した親日国を選定する」
傾向がうかがえる。
 他の業種からも
 「中国でのビジネス環境は劣悪で、市場の大きさだけでは魅力的には見えない」(電機)
との声も聞かれた。
 インドネシアについては
 「労働人口の確保、生活水準などの点で適正が高い」(繊維)、
 ベトナムは「親日的な国民性や日本的運営手法がなじみやすい」(卸売)
といった理由が挙げられている。

<中国投資慎重化、輸送機械・電機・小売で広がり>

 前月に続いて日中関係の冷え込みに伴う事業計画などの対応を聞いたところ、対応を検討している企業の割合は46%から39%に減少し、やや落ち着きがうかがえる。
 ただ、既存事業の縮小は割合こそ小さいが増加しており、投資延期・見直しも減少していない。
 業種別にみると、投資慎重姿勢が強まっているのは輸送機械で、前回の44%から59%に増加。
 事業縮小や他国への生産シフトといった回答は減少し、中国での事業継続がなお柱となっているが、日本車の不買運動が続くなか、新規投資は凍結せざるを得ない状況となっている。
 投資慎重化にとどまらず事業縮小の動きが広がっているのが電機。
 割合は小さいながら7%が事業縮小、投資延期は23%から41%に増加、他国への生産シフトもやや増加した。
 非製造業では、小売業で事業縮小がゼロ%から16%に増加、投資延期も14%から21%に増加した。



 中国では習近平体制に移行したが、強硬な対日政策が緩和されるとみる企業は6%にとどまり、引き続き日本企業にとっては厳しい環境が続くとみている企業が半数近い。
 29%は現状維持、
 より強硬な姿勢になるとの見方も17%あった。

  「中国の経済状況のさらなる悪化により、
 国民の反政府活動を防止するため、
 今以上に反日活動に力を注ぐだろう」(金属) 、
 「従来以上に制度が恣意(しい)的に運用され、計画が立ちづらくなる」(化学)
といった懸念もあり、投資計画の慎重化につながっている。

<中国事業、製造業の半数が当初計画比減少> 

 今年度の中国関連事業について、製造業では48%の企業が当初計画を下回ると回答した。
 まだわからないとの回答した30%の企業の中からも、下振れとなる企業が出てくる可能性がある。
 最も多かったのは1─3割の減少との回答で、全体の31%を占めた。
 3─5割の減少との回答も8%あった。
 逆に計画を上回る見通しの企業は2%、
 計画通りとの回答は20%だった。



<競争相手は韓国と中国企業>

 日本企業がこの1年間で競り負けた海外企業は、韓国企業とのイメージが強いが、同じ程度に中国企業にも負けている。
 製造業では韓国企業が34%、中国企業が33%とほぼ並んだ。
 欧州企業は24%、米国企業は15%となった。
 負ける理由について、品質や販売力を挙げる企業は皆無で、ほとんどが「価格」を挙げている。



(ロイターニュース 中川泉 編集:山川薫)



 事業計画をわかりやすく簡単にまとめると、
①.半分が当初の計画を下回り、
②.1--3割減少が全体の3割、
③.3--5割減少が8%
④.計画通りが2割
⑤.上向き計画が2%
ということになる。


 ところでインドはわかるが、誰もが挙げるインドネシアってどういう状態なのだろう。
 中国人が世界でもっとも多く住む国、というイメージなのだが。


ニューズウイーク 2012年11月12日(月)14時45分 ジェームズ・パーカー
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2012/11/post-2761.php

どん底の世界経済であの国が独り勝ち?
陰りが見える中国経済に代わって、インドネシアの躍進を期待する声が高まっている理由
The Next Asian Tiger:次のアジアのトラ

[2012年10月17日号掲載]

 サブプライム住宅ローン市場の崩壊と、それに続く世界的な経済危機を見事に予測した、アメリカの経済学者ヌリエル・ルービニ。
 現在も世界経済の行方にはかなり悲観的で、特に来年の中国経済には厳しい見方をしている。

 そんなルービニも過去2年間、インドネシアに関しては楽観的だった。
 IMFもインドネシアの今年のGDP成長率を6%と予想している。

 インドネシアは過去15年間、いくつもの障害をうまく乗り越えてきた。
 アジア金融危機に政治的な構造改革、04年の壊滅的な津波、政情不安などだ。
 インドネシアには石炭、パーム油、木材といった巨額の対外投資を引き付ける重要な市場もある。
 世界第4位となる2億3000万の人口を抱えている点も、投資や事業拡大の対象として魅力的だ。

 この国の将来を楽観視しているのはルービニだけではない。
 IMFとOECD(経済協力開発機構)は最近、インドネシア経済に関する好意的な報告書を公表した。

■内需の強さが切り札

 インドネシアの大きな強みの1つは、国内需要のGDPに占める割合だ。
 他の輸出依存型の国はGDPに占める国内消費の割合が危険なほど低いが、インドネシアの国内需要はGDPの3分の2に当たる。
 世界的に需要が低迷するなかで、内需の強さは切り札となる。

 成長を脅かす弱点を探すとすれば、主な貿易相手国である中国の成長神話が崩れかけていることだ。
 貿易収支がこのところ赤字続きなのも気になるところ。
 政府は、国内企業がより付加価値の高い商品を輸入するようになったからだ、と動じていないが、注意する必要はある。

 もう1つの問題は、クレディ・リヨネ証券アジアのアジア市場に関する最近の評価で、インドネシアのランキングが最下位だったこと。
 統治や規制環境などに関する評価が極めて低かったためだ。
 こうした問題に対処しなければ、経済的な成長は頭打ちになるだろう。

 それでも、過去にはもっと大きな荒波を乗り越えてきたインドネシアのこと。
 成長は維持されているし、政府は必要とあれば十分な経済政策や支援を行える状況にある。
 やる気さえあれば、今の勢いを持続できるのだ。

 あのルービニさえも味方とあって、インドネシア政府は相当の自信を付けているだろう。

From the-diplomat.com





【中国共産党第18回全国代表大会】


_